刑務所と濡れ衣 犬のうんこ

 夫の従弟で覚えている限り2名は刑務所経験者、夫も刑務所経験者。
うちの店の看板をつくってくれた鉄職人の友人で自殺してしまったタイエブは長い間刑務所いたことがあるといっていたし、
日本語ガイドのWさんの幼稚園の園長さんのお父さんも5年以上刑務所、
ほか友人の友人ならやたらと刑務所経験者の話山盛り。
最近よく民泊にやってくるマハディのお父さん、精神科医も政治批判して刑務所。
ベンアリ時代は警察国家でそれこそ誰でも簡単に刑務所にいれられたとか。人が消えたとか。
15年前、元ボスのムバラクさんが「ああの人?帰ってこないでしょうね?」とか真面目な顔でいっていたのも思い出します
 
ほとんどが濡れ衣か、政治批判、または事故の加害者で被害者家族から報復されるのを避けるため。
 
 夫の従弟のハムザ君は中心部のブルギバ通りを歩いていて、偶然デモがはじまって、関係ないのにデモ部隊と一緒に拘束1か月刑務所。
刑務所あがりということで仕事に困っていましたが、親族でちょっと力がある人にひっぱってもらって空港の職員に。
Wさんのお父さんは幼児の母から幼児性的虐待の訴訟起こされ、負けて。。。ありえん。
夫は高速道路運転中に突然出てきた人をよけて、さらによけた人が自分の帽子をとろうとして、ぶつかって、、、
帽子をとろうとしたアホな彼は亡くなった。
夫はそのまま刑務所に。私が妊娠中だったため、私が精神的に病むとおもって家族みんなが隠して、あとから知った話です。
のんきな私は「二泊も?SFAX出張? そんなことあるかなぁ」
 
 昨日家の前に住んでいるというみかけないおばさんから、大声でどなられ、
「あんたんとこの犬がうちのこの庭で用をたしているのをみたわよ、息子もみてたわよ、なんとかしなさいよ。あんたんとこよ。(意訳)」
「・・・そのコーナーさまざまな犬がウンコしているのをみてますけど、ゴミも」
「いいえ、あんたんとこです、さっき見たわよ、犬二匹。でてたでしょ、息子とみてたのよ(息子みたことない)」
「・・・はい。おしっこしてましたけど」
「とにかく掃除しなさい。よろしく、とにかく掃除しなさい(すごい剣幕)」
「・・・・。掃除、はいじゃあします。今日のいつか」
(フランス語とチュニ語まざり全部意訳)
 
その2時間後またやってくる
「あんた、掃除おわってないじゃないの(すごい剣幕)」
「16時前にやりますわ」
うちの2匹はしょんべんしてもウンコはしない。彼女の家の前の芝生は犬のトイレとなっている。
いってみると恐ろしい量のウンコだった。
とりあえず写真をとって、23個、目に見える大きなウンコだけとって、玄関先に転がっている5つのウンコや、ごみも掃除して
英語のレター、犬の顔つきで書いてポストに入れました。
2ページ目は「なんどかいいましたが、うちの犬だけじゃありませんよ」
 
ロジックより叫んだもの勝ちである。うちの犬があんだけウンコしない。権幕に圧倒されたもの負け。
理不尽な濡れ衣だらけの世界でうまくやっていかなくてはならない。
 
夫は公務員なので警察を激しく怖がり、嫌がり、刑務所にいれられるーっていつもいってます。
今日は2019年の一部の輸入送金が終わっていなかったため。そんなあほな。

こうやって腐敗? 公務員オフィスの一場面 ヤスミン・ハマメット

英語やフランス語、ひいてはアラビア語では書いてはいけないことがたくさんチュニジア生活ではおこります。

(名誉棄損であとでぶっ殺されそう)
マイナー言語で勝手にブログレポみたいにできるのは、最高です。
事実は小説よりずっとずっと面白いです。
 
 昨日、弊社のメンバーに夫(チュニジア人)の状況を聞かれ、自分が話しているうちに
面白いことに気が付き(基本的にマヒします)ここに打つことにしました。
 
 彼はヤスミンハマメットの観光局直属のオフィスに仕事にいっていますが、仕事環境が
はっきりいってめちゃくちゃです。
ボス、支局長はもめてもめて1年ごとまたは1年以内にかわる。一番最近で一番マシというそのボスは冬 自分の車がスースで燃やされて、その事故処理と家族を守るためにオフィスに来れない日が続いていました。家族のうちだれかが恨みをかったそうです。報復劇が実はすごいというこの国、(ほかの国も?)彼は家族をまもるために必死だとか。
 同僚、ホテルのインスペクターはどんどん消える。もともと5人いたようですが、Anasさんが異常に意地悪で、仕事をかき乱し、あることないこと同僚の悪口をどこかにいいふらす、すぐに病気になって医者の証明書もってきて長期休暇をとるので嫌気さしてSとN はチュニスのヘッドオフィスに陳情をだし、チュニス勤務になったのが2年前。
さらにもっと意地悪な会計担当とAnasさんがバトルになり、会計担当のAnasより意地悪で悪人が訴訟をして勝ち、
Anasもチュニスのどこかのオフィスへ移動。
残ったのがこれまた人の功績や人が残業した分を自分のものにして、給料や有休追加を申し立てるおばさんで、糖尿病の「免状」をもっているゆえいつも基本休み。夫はひとりで5人いた分の仕事をしているそうです。
 
今は欧米から戻ってきたチュニジア人の収容所と化しているホテルのインスペクションと
なぜこの時期に?といった新規オープンするホテルの書類整備。
チュニジアのリゾートホテルは敷地面積が広大というか1km以上あるので、3軒インスペクションするだけで
足から血がでるそうです。なぜ、運動靴をはかないのか?といつも聞いていますが公務員は背広に革靴でないとあかんそうです。。。。。。
 
 きわめつけに。コロナ最中、ラッキーな自宅待機中+ラマダン中の4月にofficeのパシリの同僚が自宅で首つり自殺したそうで、、
(パシリでなく庶務といっていますが。)お子様が大好きでいつも子供の話をしていたが、奥様に無理やり離婚されて、子供と遠くなって絶望したのが原因とか、夫の解釈です。5月になって夫のヘッドオフィスへの用事がほとんど彼の自殺のあとの処理になっていました。
 ここの法律は女性を守るようにできていて、さすがアラブ諸国トップの女性人権保護国Tahar hadada 万歳、どれだけひどい女性でも裁判に勝つことが多いそうです。 
 
 さらに。夫の理解者、もっとも話ができたオフィスの総務のおばちゃんは腎臓病がひどくなって仕事にこなくなったそうで、、、
 
チュニスのヘッドオフィスでも有名になっている恐ろしいこの惨状に誰も介入しないとか。
 ああ、気の毒。なによりしょぼすぎる公務員が守られすぎている!!!!!!

シディ・ブ・ジッド ジャスミン革命の発端の地へ

 チュニスから約280km、シディ・ブ・ジッドの街中まで朝5時におきて往復した。コロナ騒ぎで県外移動禁止になって以来である。視力検査によくでてくるような景色、空がどこまでも広く地平線が見えて、右も左もどこまでも見渡せる景色。オリーブの木々が等間隔に植えられている。ときどき岩山が現れ、殺伐とした自然の中にポツンポツンの民家が見える。

 

 この280kmの往復560km中にもっとも目にするのはISUZUのトラック。80%がメロンとスイカの運搬車、ほか20%が玉ねぎ、赤いピーマン、アーモンド、牛、引っ越し荷物。国道沿いにまたメロンとスイカのスタンドが圧倒的、ときにアーモンドのお茶の小屋が20軒続き、タブーナと呼ばれるパンとお茶のボロボロテントも20軒続くゾーン、羊の焼肉ゾーン、マクルードゾーン(デイツ餡のドーナッツ)が数回がある。シンプルで、だれもほかのことをしない。ゾーンに入るとみな延々と同じ店。延々と同じメニュー。

 昔はどこもかしこも、なぜ同じことしかしないのだろう、一人だけ違うものを売ったら、メニューをかえたら儲からないか?もったいない、などと思ったけど今は頭がすっきりしていい、シンプルでいいかもしれない、もったいないなんて余計なお世話だろうと考えるようになった。常にチョイスがない。商売のクリエイティビティはゼロ。隣の人がやっていることを同じようにやる。サハラからシロコという熱風が来ている日も、恐ろしく寒い日もほとんどかわらない。今日みたいにうだるような熱い日もお姉さん、子供、おじさん、が国道沿いにたつ。根性はすごい。

 そしてISUZUのトラックや大型運搬車がとまってそれぞれまったく同じお茶をもらう。同じパンを買う。行きつけの焼き肉店、マクルード(ドーナッツ)の店に寄る。需要と供給は一致しているのか。よそ者がとやかくいうものではない。

 

 熱さと運転は疲れるけど、頭がすっきりするのはこういう長距離移動のことをいうもので、視界に入ってくるものがシンプルでわかりやすく消化しやすい。広い広い空と平原またはオリーブ畑、そして岩山。今になって時空を超える長距離移動は心の換気だと思うようになった。私の中では200km以上。「旅」と意識して出かけるとさまざまな出会いと学びや発見が期待されるけど、単なる長距離移動、出張も日常の生活でよどんだ思考や意識のほこりをさっぱり吹き飛ばすもんだと、実感した今日。

 

 革命の発端、モハメド・ブアジジさんが焼身自殺を図ったのが、このシディ・ブ・ジッドの町、市役所前で、何度か一度いってみたいといわれお客さんを案内したことがある。毎週土曜日の午前は市がたち、活気はあるようにみえるが、やさぐれた雰囲気がいつも漂う。地中海沿岸沿いやサハラ地区とは異なり、町開発、リゾート開発からも取り残された農業中心の保守的な内陸の町。革命のあと大統領3回かわっても何もかわらない。

 

 私はこれからもお客さんに「町としては何もないですよ。ブアジジさんの碑を見て、焼身自殺があった市役所前を確認するくらいですよ。でも、オリーブの木の加工工房はありますよ。。。」って言い続けるんだろうなぁ。

 

 

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